ピアノのコンクールに参加している中で、これは素晴らしい演奏だと素人ながらに思う演奏を聴くことがあるのですが、そんな演奏を聴いていても、コンクールを勝ち上がれない方がいらっしゃいます。
え!?あんなに上手なのに何で?
私自身も素人だったので、「なぜ、勝ちあがれないの?あんなに上手いのに」と、よく感じたものです。
今回は、ピアノの才能があっても評価されないピアノ演奏について、その理由を少し書いてみたいと思いました。
- 難しいパッセージを可憐に弾きこなせているよね?
- ミスなく演奏が出来ていたのに評価されていない?
- 時代にあった演奏が出来ている?
- 音色がすばらしい?
難しいパッセージを可憐に弾きこなせているよね?
あるときのピアノのコンクールで、「よくもあんな風に上手に弾けるよね・・・」っていう演奏をされる方がいて、私は絶対入賞するなと思っていた人がいました。
私は素人ながらに、絶対この演奏はすごいと思っていたんです。
ところが、入賞できていませんでした。
正確には、入賞はできていたのですが、上位ではありませんでした。
その時は「なんでなの?コンクールの評価ってわからないもんだねぇ」と思ったのですが、今は答えがわかりつつあります。
素人がピアノの演奏を聴く場合、リズムに、音符がのっていて、早いスピードで演奏をしていると、これはスゴイ!という判断になるのですが、コンクールなどでは、指が動いてるだけ、という評価になる時があります。
実際には、楽譜が指定した譜割と異なっていたり、リズムや両手の音の粒のバランスがとれていなくても、素人が聴いている限りは、すごいという評価ができてしまうのです。
これが、評価の違いに出てきます。
素人でも評価できるのは、スピードと演奏の正確さまでであり、楽譜と実は異なる演奏をしていたとしても気づけないのです。
もちろん、誰もが知っているような曲であれば、それがわかるわけですが、コンクールで使われる楽曲は、一般人になじみがあるかといわれると、そんなものではありません。
ピアノの先生になって、毎年コンクールに参加していれば、わかってきますが、そうでもなければ、すべて初めて聴く曲になってしまうので、気づけないのです。
あまり練習をしていなくても、ピアノの才能があれば、うまく弾きこなしている雰囲気をだせてしまいますが、それでは作品が再生されていないので、NGとなります。
ミスなく演奏が出来ていたのに評価されていない?
暗譜ができており、間違えることなく最初から最後までピアノ演奏を弾ききっていると、これはすばらしいと感じるものです。
すると、私を含めた一般の聴衆者は、最後までミスなく弾けてすごい!!
そう感じます。
ところが、実際には、ミスがあるのです。
そこに一般人は気づけません。
リズムのミス、休符のミス、強弱のミス。
音が鳴っていればOKということはなく、正しく音を出すだけではダメで、正しく音を消さなければ、結局は評価されないのです。
暗譜演奏と一言で言いますが、暗譜が間に合ったというレベルは、たいてい音符を覚えただけで、速度記号と休符などは、抜けていたりします。
つまり、暗譜できていないのです。
その違いが、コンクールの結果の違いに出てきます。
時代にあった演奏が出来ている?
コンクールで求められているピアノ演奏は、再現です。
クラシック音楽の父たちが、築いたクラシック音楽を現代に再現することを求められています。
ところが、コンクール初心者の私のような聴衆者たちはそこに気づけていません。
どこかショパンっぽくない、ベートーベンっぽくない。
バッハっぽくない、モーツアルトの雰囲気じゃない。
楽譜が先に進めば進むほど、ほんの少しの音の端切れや、リズム、そして、タッチが、ちょっと変?、それだけで、違うと判断されることになっていきます。
時代にあった演奏が出来るようになるためには、その時代の音楽の名手の演奏を研究する必要が出てくると感じます。
音色がすばらしい?
ピアノの演奏を聴いていると、音色がすばらしいなぁと感じる時があります。これぞ、名手という印象があるのですが、必ずしも、よい結果が出ていませんでした。
なんで!?
その答えは、ペダルです。
ある有名なプロのピアニストが、どうせ気づかれないので、ライバルが出現するまで、ある楽曲をペダルで誤魔化して演奏していたという話を読んだことがあるのです。
つまり何を伝えたいかと言うと、ペダルに頼って音色が素晴らしくても、評価されないということなのです。
ペダルを踏むと音が鳴り続けますから・・・綺麗に聞こえてきます。ピアノ本来の素晴らしい音色です。
しかし、それは、演奏ではないのです。
ピアノの才能があっても評価されないピアノの演奏のまとめ
ピアノは先に進めば、進むほど、素人が気づかないレベルの些細な違いで、争うことになっていると、気づくようになります。
楽譜があり、たくさんのピアニストがいて、答えとなる模範演奏がたくさん転がっているのですから、ちょっとやそっとじゃ、その域にいけないことが、わかってきます。
ピアノの才能があっても、ピアノを練習する才能があり、誰よりも努力を重ねることが、正確さに繫がり、再現力を高めるようです。
才能だけで、何かができるわけではないことを、多くの大人たちは知っていますが、ピアノもそれが当てはまります。
どういった演奏をしないと評価されないかを知れば、おのずと練習の仕方も変わってくると思います。
がんばっていきましょう!