ヤマハのピアノにはトランスアコースティックという技術が備わった製品がいくつかあります。響板をスピーカーの代わりに電子ピアノの音を響かせて、音量調整をすることが可能となることが最大のメリットです。この機能について、実際にC3X-TA2を保有する視点でご紹介したいと思います。
- トランスアコースティックって実際使えるの?
- トランスアコースティックのデメリットをあげると?
- 防音室かトランスアコースティックか?
- トランスアコースティックはどんな家庭に向くのか?
トランスアコースティックって実際使えるの?
トランスアコースティック機能を、平たく言うと、グランドピアノのサイレント仕様の進化版です。
何が違うかというと、スピーカーから音を出すか、響板から音を出すかの違いです。
ピアノには、音を響かせる響板という、板がもれなくあるわけですが、そこにスピーカーの真の部分にあるコーンのような器具を押し付けることで、振動を与えると言うことになります。
トランスアコースティックの最大のメリットは、グランドピアノから音が出ることです。
スピーカーから音を出すのと、響板から音を出すのとでは、明らかに、演奏者から聴いた音の印象が違います。
通常サイレント仕様の場合は、ヘッドフォンで演奏することになりますが、トランスアコースティックなら、響板から音がでるので、限りなくピアノから音が出ている状態を作ることができます。
ヘッドフォンをしてるとどこから音が出てるかわからないだけでなく、耳も痛くなるので長時間は無理です。
トランスアコースティックのデメリットをあげると?
トランスアコースティックを選択した時点で、自宅にグランドピアノをそのまま置くことができない状態の人ということになりますが、その前提でトランスアコースティックのデメリットを書いてみたいと思います。
厳密にはグランドピアノの練習にはならない
トランスアコースティックはピアノの弦がなりません、ストップします。そのことにより、ハンマーが弦に当たる前に、遮断されます。
通常なら、ハンマーが弦に当たった後、跳ね返りの力が働き、それをプレイヤーは感じることができると思いますが、それがありません。
中級レベルならこれがなくても練習になりますが、上級者になってくると、100%グランドピアノの練習している状態ではありません。
音色は電子ピアノ
音は電子ピアノと同じ再生音になります。
そのため、悪い打鍵をしても、それなりに良い音がでます。
楽曲の指練習はできても、やはりタッチの練習は必要です。
音を出してもいい時間には、トランスアコースティックではなく、グランドピアノの生音での練習が必須です。
保証期間は10年程度
トランスアコースティックは電子機器なので、パーツを10年しか保証しません。グランドピアノ自体は、100年以上維持することも可能と言われていますから、先に寿命が来てしまいます。
そうなると、15年くらいで、機能が使えなくなる可能性が高いでしょう。
防音室かトランスアコースティックか?
トランスアコースティックを検討されている人は、防音室にするか、トランスアコースティックにするかで悩まれていると思います。
これについては、私はどちらがいいかは難しいところかと思います。
私達は、防音室300万円の費用を抑えるためにトランスアコースティックを選んだ側面があります。
では、費用面の問題がなければ防音室を選んだのかというところですが、ここはやはり疑問です。
トランスアコースティック機能には、MIDI端子がついてきます。つまりパソコンにも接続できます。
グランドピアノで、DTMをやるという特殊なこともトランスアコースティックなら可能になります。
防音室で、ノーマルのグランドピアノではそれが実現できません。
また、防音室の場合は、音が籠ります。広い部屋を防音室にするといいかもしれませんが、狭い部屋を防音室にすると、反響音が気になります。
各家庭の家の構造次第で、どちらが良いかという判断をするしかないと感じます。
ただ、24時間グランドピアノのタッチの練習をしたい場合は、防音室という選択肢しかありません。
トランスアコースティックはどんな家庭に向くのか?
本格的にピアノを練習したい人
防音室は作れないので、音を調整して練習をしなければいけない
ヘッドフォンでは、耳が疲れる
電子ピアノ的に使いたい
演奏しなくても、ピアノの曲を本格的に鳴らしたい