アクアリウムの飼育水を作る

アクアリウムの飼育水を作るでは、魚やエビが元気に暮らすことができる環境を作るポイントである、アクアリウムの飼育水および作り方について解説していきます。

アクアリウムの飼育水を作る

  1. 飼育水を作る理由
  2. 飼育水を作る方法
  3. どんな状態になると飼育水ができたと言えるのか
  4. パイロットフィッシュの導入

飼育水を作る理由

水道水は、塩素が含まれ雑菌が死ぬ人間にとっては衛生的な水です。人間は水道水を飲んでも死ぬことはありません。しかし、魚やエビが暮らすには有害な水です。

実際に長時間水道水の中に魚やエビを入れておくと、魚もエビも弱っていくだけでなく、最悪の場合は死に至ってしまいます。平気な魚やエビもいますが、小さい魚程影響を強く受けることが多いです。

アクアリウムにおいて、水道水の水はそのまま使うことはできません。少なくとも殺菌効果のある塩素を抜く必要があります。しかし、水道水から塩素を抜き、生き物たちにとって無害な状態になったとしても、アクアリウムの水としては適していません。

その理由は、魚ではないのでわかりませんが、塩素を抜いただけの水に魚たちを入れた結果をみれば明らかです。それでも病気になったり、弱ってしまうのです。

人間にとって工場で作った綺麗すぎる純水が美味しくないように、綺麗すぎる水も魚にはいい水ではないということでしょうか。

アクアリウムでは、魚やエビに、エサやりはかかせませんし、生き物のフンは飼育する以上避けれません。エサやフンなどの有機物があれば、水槽内にバクテリアや菌類といった生き物が住み着き始め、食物連鎖がある程度出来上がっていきます。

このような、生き物たちの連鎖が生まれることで、なぜか水道水が、ようやくクリアで、魚も暮らしやすい飼育水となっていくのです。また、よい飼育水は、魚を元気にしてもくれるのです。

飼育水で違いがわかる話

私はこれまでに3度、ミナミヌマエビ100匹をネットで購入したことがあるのですが、飼育水の違いで、このエビの生存に影響がでるということを実際に経験しています。

初めての時はアヌビアスナナの農薬にやられ、買ってすぐに半減してしまいました。次は、塩素を抜いて天日干しもした水に、入れたのですが、20匹は数日で星になってしまいました。ところが、1年以上まわしている飼育水に入れたミナミヌマエビは、到着して数匹は死んだ者の、それ以外は元気に回復を魅せました。

水の違いでここまで違うのかというのを実感させられました。

どんな飼育水ができあがるかは、作ってみないとわからない

飼育水がどんなものかというと、藻が入り込んだり、買った水草に潜んでいたり石についていたりするバクテリアが、フィルターやろ材、底石に住み着き、増えた状態の水が、飼育水です。

環境中にいるバクテリアが住むことになるため、どんな飼育水になるかは作ってみないとわからないところがあります

このような飼育水の出来上がり方は、実は家庭菜園の畑と一緒です。自分の家の庭を耕し、家庭菜園にした場合、どんな昆虫が住んでいて、どんな生物が畑に住んでいるかに依存して、畑の育ち方が違ってきます。また、土が違えば作物の出来が違ってきます。

庭がよい畑になるためには、10年くらいの期間が必要なりますが、よい飼育水が出来上がるのにもそれなりの時間がかかります

元気なアクアリウムができるかどうかは、土づくりならぬ飼育水作りから始まると言ってもいいでしょう。

畑づくりと同様にアクアリウムも水づくりに長く時間をかけることで、独自の環境が生まれていきます。逆に言うと、アクアリウムを続ければ続けるほどに、よい環境に変化していくとも言えます。もちろん良い方向に導くためのメンテナンスはかかせません。

魚たちが元気になる飼育水を作る方法

  • バクテリアを買ってきて水槽の水に混ぜる
  • 自然界の水を汲んできて水槽に混ぜる

飼育水の作り方は簡単です。セッティングした後の水槽で、フィルターを回したまま放置していれば、基本的には勝手に成長していきます。

ただし、塩素を抜く作業は必須です。

これ以外は必要なことは、実はあまりありません。空気中に含まれている微生物が、水槽に入り込んで、自然と増えていくからです。本当に不思議なもので、ただこれだけで、バクテリアや菌類が住み着くのです。空気中に微生物は含まれて飛んでいるのです。

しかし、自然に任せていると、良いバクテリアが必ずしも入るわけではないので、飼育水が育つには、それなりの時間がかかってきます。

さぁ、アクアリウムを始めるぞ!となると、できるだけ早く生体を飼いたくなるものです。短期間で効率的な飼育水作りをするには、添加剤の利用が欠かせません。

バクテリアを買ってきて水槽の水に混ぜる

元気なアクアリウム環境を作るには、飼育水が大事なことはわかってきたかと思いますが、その環境の構築をお手伝いしてくれるバクテリア製品が、たくさん販売されています。

環境に合う合わないで、効果が必ずしもみられないところはありますが、何もない状態の水道水から始めるのであれば、バクテリア添加の効果は期待できるでしょう。

膨大な畑の一部に、ちょっとほんの少しの肥料や、ちょっとの昆虫などでは影響がありませんが、それなりに育った畑の土を大量に入れたら大きく変わるのは想像できますよね。

同じように、よく育つ環境の飼育水をもらってきて入れることに似ているのが、添加剤の利用と言えるでしょう。

自然界の水を汲んできて水槽に混ぜる

バクテリアだけではなく、害虫を運んでしまう可能性がありますが、自然の川の水を汲んできて利用するという手段もあります。

最良の飼育水を考える時、生体が育った環境の水質に似ていることが一番だと感じますが、お店に入荷する前のそもそもの環境は知ることはできません。そのため、まったく同じ環境を用意するのは、大部分の場合不可能です。

そう考えてみると、新しく立ち上げたアクアリウム水槽に、バクテリアの添加剤を使わないのであれば、自然の水を汲んできてを利用するのはありかと私は思います。特に、日本の環境で育ってきた生き物であれば、日本の自然の水が合うと言えると思います。

私の場合、荒川の水を使ってベランダ飼育のメダカ用の飼育水を作ったことがありました。結果的には失敗か成功かはわかりませんが、メダカがどんどん増えていくことを経験しました。

どんな状態になると飼育水ができたと言えるのか

初めての方に、飼育水のイメージはわからいと思いますので、どんな状態になると飼育水ができたと言えるのか順を追って書てみたいと思います。

水道水をそのまま水槽に入れただけの水は、綺麗すぎで、かつ酸素を多く含んでいますので、水槽のガラス面などに水疱がたくさんつきます。水に匂いもほとんどなく、とてもきれいです。これが塩素がある水の特徴です。

そこから、徐々に水が腐り始め、フィルターの排水が白く泡立ちするようになっていく感じがします。この段階では、魚も元気にはすめません。

さらに、しばらくたつと泡立ちしなくなっていくのですが、そのあたりがようやくバクテリアが出現した?と感じるところです。しかし、出現し始めたばかりですので、ここでの飼育でも生体の生存率は高くありません。

さらに飼育水が進むと水槽の壁面に藻が生えてきたりします。この辺までくると、飼育水も育ってきたんだなぁと感じられるようになります。

つまり、藻の出現を私は目安としています。ただ、この段階でもあまり魚たちにとっては最適ではないと感じます。

そこからさらに飼育水の成長が続くと、水がどこか泥っくさい匂いになってきます。こうなってくると、かなり飼育水の成長が進んだと私は感じています。

畑の土の匂いを最近の人は知らないかもしれませんが、田舎で暮らしたことがあれば、泥の匂いはわかるかと思います。

つまり、畑の土も、飼育水の水も、バクテリアが育てば同じ匂いになるのではないか?というのが、私の中での答えです。

パイロットフィッシュの導入について

飼育水が魚に合う水に育ったかどうかを確認する手段として、水槽にすべての魚を入れる前に、テスト用の魚を入れる手段がとられます。

選ばれた魚はかわいそうな気がしますが、仲間のために犠牲になることもしかたありません。

しかし、実際に犠牲になるということは、あまりなく、飼育水をうまく作れていれば、問題になることはないと思います。

パイロットフィッシュを入れてから3日程度たって問題がなければ、予定通りの生体を入れることで、被害は最小現で、セッティングが完了します。


👉アクアリウムに適した生体を入れる

👈水槽、フィルタ、水草・石・流木をセッティングする

アクアリウムをはじめよう

  1. アクアリウムに必要な水槽一式を用意する
  2. 水槽、フィルタ、水草・石・流木をセッティングする
  3. アクアリウムの飼育水を作る
  4. アクアリウムに適した生体を入れる
  5. アクアリウムのメンテナンス