アクアリウムに必要な水槽一式を用意する
目次
アクアリウムを始めるはじめの一歩は、水槽一式を用意するところからになります。水槽がなくては、アクアリウムを始めることはできませんからね。水槽について、ゆっくりと説明をしていきます。
淡水:ヒーター無し環境の作り方
はじめての方には、水道水をそのまま利用できる淡水で、電気代もかからないヒーター無しの環境をおすすめします。熱帯魚ではなくても、メダカやアカヒレ、ヌマエビなど、かわいい生体がいますし、低コストでアクアリウムが可能です。
ヒーター無しでアクアリウムを始めるために最低限必要なものをあげると「水槽、フィルタ、底石、ライト」の4点になります。(流木や石などのオブジェクトはオプションなので、後述します)
アクアリウムで最低限必要なもの
アクアリウムと飼育の違いの一番は、きれいな水槽環境を作れるかどうかになります。自然の美しさを、水槽の中に可能な限り再現することが、アクアリウムの醍醐味だと思いますので、そこをはずさないための水槽作りのポイントを紹介していきます。
水槽
アクアリウム用の水槽選びのポイント
- 飼育ではなくアクアリウムならではのデザイン性で選ぶ
- 水槽を置く設置場所にあったサイズを選ぶ
- 水を入れた後の重量を考慮して耐えられる水槽を選ぶ
- 水槽の値段は水槽のガラスの品質(クリア差)に出る
- 予算に余裕があるならアクリル水槽も選択に入れたい
飼育ではなくアクアリウムならではのデザイン性で選ぶ
上の2つの水槽は、同じメーカーから販売されている水槽ですが、どういう印象を持たれたでしょうか?
黒い縁がある水槽は、どこか飼育感を感じさせないでしょうか?一方右側の、クリスタルキューブと呼ばれる水槽は、おしゃれ感が広がります。
水槽の選び方は、好みではありますが、せっかくのアクアリウムですから、好みに合ったデザインを選びましょう。何度も買うものではないので、妥協しない方がよいです。
値段はサイズにより変わってきますが、30センチでもデザインにより数千円の差が生まれます。
アクアリウムには、キューブ型の水槽を私はお勧めします。
25cmキューブ水槽のすすめ水槽を置く設置場所にあったサイズを選ぶ
アクアリウムは日常に溶け込むオアシスであり、生活に豊かさと癒しを与えてくれます。水槽が生活を圧迫しては元も子もありませんし、水槽様となって、普段の生活を妨げるようでは、オアシスではなく、飼育になってしまいます。
水槽は、部屋や机、家具などと調和のとれたサイズを選択したいです。また、フィルター等の設置場所も含めて考慮し決めましょう。
後程、フィルタの方式についても触れますが、水槽とフィルタをセットした場合、どの方式なら、部屋とうまく調和がとれた環境となるか、考えながらやるのが大事だと思います。
水を入れた後の重量を考慮して耐えられる水槽を選ぶ
アクアリウムの水槽には、たくさんの水を入れることになります。1リットルは、だいたい1kgで計算できますので、18リットルの水槽は18kg、60センチ水槽になると60リットル程度になりますので、60kgにもなります。
これに本体の重さも含めると70㎏を超えてしまいます。70kgといいますと、成人男性程の重さになりますので、水槽の設置場所はしっかりと重量を支えられる安定した場所でなければならず、置ける場所は限られてきます。
可能であれば、60センチ以上の水槽を使う場合は、専用の台を用意したいところです。
水槽の値段は水槽のガラスの品質(クリア)に出る
アクアリウムのポイントは観賞用ですから、ガラスの品質はとても大事です。アクアリウムとして選択する水槽のガラスは、当然くっきり見えるタイプのものが良いです。
水槽の値段は数千円から数万円以上の値段の差がありますが、これはデザインやガラス面のクリア差の違いにでてきます。
水質維持のことを考えると、アクアリウムの水槽のサイズは60センチをおすすめされるのですが、都会の住宅事情を考えると、私は30センチがおすすめだと感じています。
確かに、30センチの水槽では水の量が少なく、水質が安定しにくいのですが、外部式フィルタなど、外付けのタンクが大きいフィルタを使えば、水量を確保できますので、30センチ水槽でも、安定してきます。
予算に余裕があるならアクリル水槽も選択に入れたい
水槽のクリア差や落下などで割れてしまうガラスの欠点を考えるとアクリル水槽も検討に入れたいのですが、ふちの加工がどこかアクアリウムっぽさがなくなるので、現時点では残念な印象です。しかし、アクリルの透明度はすばらしいものがあり、慣れてきたら検討したくなる水槽だと思います。
アクアリウムを始める時に不要になった時のことを考えたくはないですが、水槽はそれなりに場所をとるアイテムだけに、不要になったときの処分のことを少し考えて置いたほうがいいでしょう。
また、アクアリウムにハマってくると次々と新しい水槽がほしくなってしまうので、最初に理想があるのであれば、高価でも妥協せずに、理想の水槽を選んだ方がいいでしょう。
最近は水漏れする水槽はあまり聞きませんが、時間をかけて水草まで設置した後、水漏れするようなことがあると、やり直すにも、生体の一時避難場所がなかったり最悪ですので、品質が安定したメーカーを選ぶのもポイントです。
フィルタ
アクアリウム用フィルタのポイント
- フンなどのゴミの収集が上手くできるか
- バクテリアを育てられるか
- フィルタの掃除は1か月に少なくとも1回は行う
- 水草の育成には二酸化炭素(CO2)が逃げない方式のモノを選ぶ
- 繁殖を楽しむ場合には稚魚が吸い込まれない方式を選ぶ
フンなどのゴミの収集が上手くできるか
フィルターはろ過の方式により扱い方が変わってきますが、アクアリウムで一番大切なことは、きれいな水を維持をすることです。 少しぐらいの汚れでも、問題なく飼育できるお魚もいますが、汚い水槽では鑑賞する気にはなれませんよね。部屋に汚い水槽があると運気が下がる気もします
水槽の水をクリアにする一番のポイントは、フンなどのゴミ収集が行うことであり、そのためにはスポンジを通すことが手っ取り早く、外部式フィルターのような多層構造のろ過装置でも、必ずスポンジが使われています。
白濁りがでるのは、たいてい安価で、スポンジがつかわれてないフィルターを使っている場合が多いです。安い外掛けフィルターを使うと白濁りが出やすいですが、その理由はスポンジフィルタを使っていないことが上げられると思います。
バクテリアを育てられるか
アクアリムにおいて、きれいで元気な水を作るのは、工業製品ではなく、最後は自然の生き物であるバクテリア様の力を借りなくてはいけません。
彼らが水槽内にたくさん生息できるようにするためには、多孔質のろ材を使うことが定番です。底石にソイルなど多孔質のアイテムを使うことがポピュラーになっている理由もバクテリアを増やすためです。
良い飼育環境を作ることは、植物性の微生物や植物性の微生物がうまく循環して育っていく環境に通じています。バクテリアが住める環境には、ろ材が必要です。
外部フィルターにはもれなくろ材が入っていますし、ろ材がセットされていないフィルターであっても、ろ材を敷いて、より生体が生き生きと暮らせる環境を作ることは、とても大事です。 安価で無加工のフィルターでは、慣れていても、一から飼育水を作るとなると苦労すると思います。
フィルタの掃除は1か月に少なくとも1回は行う
物理ろ過のフィルタには、生体のフンや水草の切れ端などのゴミが貯まります。半年間水替え不要というシステムがありますが、生体は毎日のようにエサを食べフンを出します。そのため、1か月も経てば相当量の老廃物が貯まることになります。
金魚の場合は顕著に水の汚れが出るばかりか、病気になるケースが多いので、放置することは不可能だと思いますが、小型の魚の場合は、意外と平気だったりするので、掃除を忘れがちです。
しかし、綺麗なアクアリウムを保ちたいのであれば、1か月1回以上、できれば2週間に1回は、水替えと掃除をしたいものです。
水草の育成には二酸化炭素(CO2)が逃げない方式のモノを選ぶ
二酸化炭素について取り上げる前に、フィルターの方式について説明しておきます。
フィルターの方式
水槽外で掃除するフィルタ
- 外部式フィルター
- 外掛式フィルター
- 上部式フィルター
水槽内で掃除するフィルタ
- 投込式フィルター
- 底面式フィルター
- スポンジフィルター
フィルターの方式には大きく分けると2種類があります。それは、水槽外でフィルターを通すのか、水槽内でフィルターを通すかの違いです。
水槽外で飼育水の掃除するとなると、水槽外の装置が必要になるので、置き場所の問題が発生しますが、フィルターの清掃能力は圧倒的に水槽外で掃除するフィルターです。
水槽外で掃除をするフィルターの清掃能力が高い理由は、バクテリアの存在が上げられます。
物理的なゴミのろ過は、スポンジなどのフィルタを通すことで行いますが、物理的なろ過には限界があります。水の中のゴミを食べて成長するバクテリアなどの力を借りることで、さらにきれいな水を作ることに期待できます。
バクテリアを育てるのは、小さな生き物なので、フィルタの中に、多孔質のろ材を入れることで実現します。また、敷石として利用するソイルなどにも、バクテリアが住むことが可能です。
水槽内で掃除をするフィルターは、水槽内にフィルターがあることが気になるか、気にならないかがポイントになります。アクアリウムをやるとなれば、水槽内に余計なものがあることは避けたいものです。そのため水槽内のフィルターは好まれず、外部式のフィルターが好まれます。
性能だけを考えると、水槽外で清掃するフィルターを利用することが多いですが、底面式フィルタなどは、見た目も問題なく、設置をうまくやれば外部式に負けない性能が発揮できますので、慣れてきたら底面フィルタを愛用する人も多いと聞きます。
ただし、底面フィルタは掃除をすることがあまりできず、本格的に掃除をするとなると、水槽のリセットが必要になってきます。
フィルターは、方式により得意とする場面が違ってきますので、使い分けて利用をしていきます。
初心者の方におすすめなのは、ポイントを押さえなくても、水をきれいに保ち、水質の安定が期待できる外部式フィルターです。
繁殖を楽しむ場合には稚魚が吸い込まれない方式を選ぶ
繁殖に向くか? | |
外部式フィルター | △吸い込み口にスポンジ要 |
外掛式フィルター | △吸い込み口にスポンジ要 |
上部式フィルター | △吸い込み口にスポンジ要 |
投込式フィルター | × |
底面式フィルター | △ |
スポンジフィルター | △ |
稚魚を育てる場合、実はほとんどのフィルタは向きません。理由は、フィルタは水流を生み出すからです。小さな稚魚は、小さな隙間からいろいろなところに入り込み、出られなくなってしまいます。
工夫次第で、ある程度予防はできますが、それでも事故は防ぎきれません。
人間の赤ちゃんもそうですが、お魚やエビをしっかり繁殖させたいなら、サテライトを使って育てるのがいいのは間違いありません。
サテライトは、水槽のサイドに設置する稚魚を育てるときに使う専用のケースです。本水槽の飼育水をそのまま、サテライト側に使うことになるので、水が合わないということはありません。また、エアーポンプの泡で水流を作って水を貯め込むので、酸素を多く含む水が送られることになりますから、とても良い製品です。
底石
アクアリウム用底石のポイント
水草の育成を考えるとソイル一択
水槽の底石というと、金魚水槽が多かった昔は砂利を使ったものですが、最近は見た目に綺麗なソイルを使うことが多いです。
水草との相性を考えてもソイルが一番かと思います。実際、お店に行っても水槽に使われているのは、ソイルであることが多いです。おそらくは安い素材であることと、水質維持に向くからだと思います。
ユーチューブの動画などを見ていると、ソイルを底石に使うというのに、洗ってから使うという説明をしているものがあるのですが、パウダー状のソイルなどの説明書の裏を読んでもわかる通り、メーカーは洗わないで使用するように提示しています。
昔使っていた、自然から採取した砂利などの石の場合は、害虫や濁りの原因になる物質などが混ざっていたので、洗う必要がありましたが、人口のソイルは洗う必要がありません。気になる場合は洗ってもよいですが、パウダー状のソイルは、無駄に流れてしまいます。もったいないです。
パウダー状のものは掃除を考えると使いづらい
ソイルの種類の中には、水草の生育にぴったりと言う、パウダー状のソイルがあるのですが、初心者のうちは、あまり選択する必要がないかと思います。
その理由は、最初に濁ることと、扱いずらいことでしょうか。
根っこが生える水草は、パウダー状のソイルの方が、根付きも良く成長がいいとされていますが、通常のソイルでも問題なく育ちます。パウダー状のソイルの場合、一度水中で舞い上がると、時間をかけないと元に戻りません。
また、ホースを使って底石を掃除するときなど、パウダー状のソイルは吸い込まれやすいですから、掃除のときにも注意が必要です。
やらないとなれないですが、どうしてもパウダー状のソイルじゃないと育ちが悪いという水草でないかぎり、あえて選択する必要はないかと思います。
底石やソイルを使わない選択もある
金魚水槽のように、水草といっても根が生えないマツモのような水草だけを使用するのであれば、カラフルな石を選択するのも面白いと思います。
水草は一切入れず魚の美しさを楽しむアクアリウム水槽であれば、底石を入れない選択はあります。石があれば、ごみが貯まりますので、なくしてしまってクリアな水を維持させる考え方もありです。
ミナミヌマエビなど、エビを入れるのであれば、底石はソイル一択だと思います。 水草の育成にはパウダー状のものがいいとされていますが、水槽の掃除の際に流出しやすくお手入れが難しいので、始めのうちは、選択しない方がよいと思います。清掃のホースをうまく使えるようになったら、パウダー状のソイルで、水草の育成を優先するのはありです。
ライト
アクアリウム用ライトのポイント
- アクアリウムの魅力を引き出すのはライト
- ライトは水草を育てるアイテム
魚やエビの飼育ではなく、水槽をアクアリウムにする場合は、照明は必須アイテムです。高いと思っても高額なアイテムを選ぶ価値はあります。
アクアリウムの魅力を引き出すのはライト
私が小学生の時に初めて買ったニッソーの水槽セットのライトは、普通の蛍光灯だった記憶がありますが、夜でも明るい水槽に大きな魅力を感じたモノでした。
時は流れて現代のアクアリウムでは、LEDが主流となり、白色だけではなく、青色や赤色のLEDが照明につかわれることは当たり前になっています。
また、それぞれ独立したスイッチとなっている商品もあり、水槽の色を自由にコントロールできる商品もあります。
アクアリウムという特別な空間を、より魅力的な空間にするために、照明は絶対に欠かせないアイテムです。
ライトは水草を育てるアイテム
室内栽培用のライト
私が最初に構築したアクアリウムに使ったライトはクリップライト(ソケット)と観葉植物用のライト(LED)でした。
選択の理由は
値段が安いこと、また、最初からアクアリウム専用のものを買うよりは、飽きてしまったときのことを考え、他に利用できるクリップライトが良いと思ったからです。
メリット
- アクアリウム以外にもライトが使える
- 値段が安い
デメリット
- 光量が少なく暗く感じる
- 水槽のサイズに合わないため、水草の成長には非効率
最初から気合が入ったアクアリストになる皆さまには、選択の候補にはならないとは思いますが、アクアリウムで水槽を育てることと、室内でハーブや観葉植物を育てるところは似ているところがありますから、クリップライトに植物育成用のLEDを選択することはありだと思います。
比較的安いアクアリウム用ライト
ある程度本格的にアクアリウムをやろうと思ったときに選んだのは、ジェックスのライト「クリアLED パワーIII 300 30cm」でした。私のアクアリウムの最初の水槽のサイズは30センチでしたので、3000円程度だったのですが、60センチになるとそれなりの価格となってきます。
メリット
- モードを替えるライトの切り替えスイッチがある
- かなり明るい
デメリット
- やや値段が高い
- アクアリウムにしか使えない
ジェックスのクリアLED パワーIII(以後パワー3)は、赤、青、白のLEDのスイッチが個別にあります。これにより、ナイトモードなどの切り替えが可能になり、水草の成長などにも役立てることができます。
3色すべてのスイッチをいれるとびっくりするくらい水槽の中が移り、これぞアクアリウムという世界が始まっていくのを感じると思います。
メンテナンスのしやすいライト
アクアリウムをやるようになると、水槽を頻繁にいじるようになってくると思います。水草のカットや、ごみを除く、水の入れ替え、などなど、必然的に水槽をいじることが増えてきます。
そうなってくると、水槽の上部にフタをするように設置されたライトよりも上方から照らす、吊り下げ方式のライトが便利になってきます。