先日、音楽中学校に通う中学1年生の音楽専門コースの生徒による発表会に参加してきました。今年1年の努力の結果を確認する会です。
私の子供は、これまでいくつものピアノコンクールに参加したこともあり、手前味噌レベルで申し訳ないですが、親である私も予選を突破出来る子・できない子の聞き分けができるようになったつもりになっている私です。
また、絶対音感を持つ子供に比べると聴音もあまりできず、音感のレベルは非常に低いですが、軽音楽の専門学校に2年ほど通ったこともあり、音楽に関して多少知見があるつもりでおります。
今回、発表会に参加させていただき感じたところを、本音で書いてみたいと思います。
- 中学生は口下手(まだ、本音でしか会話できない)
- わかるわかる!楽譜の音符を並べたくなる気持ち
- 予選を通過するレベルなのは一人
- すばらしい校長の言葉
中学生は口下手(まだ、本音でしか会話できない)
この発表会は、中学校1年の音楽コースの演奏を、勉強では一緒に学んでいる一般コースのクラスメイト・先生・親が聴く会で、普段は知らないクラスメイトの演奏を知るとともに、音楽に触れる機会という位置づけでした。
そのため、お客さんは音楽を学んでいない素人。立場が違う人には、多くの言葉で、捕捉を入れないと伝えたいことが伝わりません。
演奏の前に、楽曲についてのメッセージを添えたのですが、まだ、中学生ですからどの生徒ももうすこしわかりやすいメッセージだといいなと思うものばかりでした。
多かったメッセージは、演奏の技法に関することで、どこがどう難しいとか、トリルやリズムなどの演奏における特徴など、普段のピアノレッスンで言われたことをそのまま発信していました。
中学生ですから、まだ意味あるメッセージを伝えることがうまくできないのは、しかたないといえば仕方ない。
しかし、ピアノの練習もしたこともなければ、これから練習することもない生徒=お客さん向けに、メッセージを送るのですから、作曲家の紹介や、楽曲の生まれた背景、そして、曲の聴きどころがあるなら、その部分を軽く解説した方がメッセージが伝わりやすいですよね。
女子生徒で一部出来ている方もいましたが、どこか口下手で伝わってきません。中学生だから仕方ない部分もありますが、せっかくの機会です、ここはがんばって欲しいところだと感じました。
スピーチの練習にもなるので、ピアノの演奏だけの発表では、もったいない部分を感じてしまいました。
わかるわかる!楽譜の音符を並べたくなる気持ち
ピアノの楽譜を見るとたくさんの音符が並んでいます。
これは、何を出さなければいけないかが決まっている料理店のようなものです。
お客さんの都合はきかず、とりあえず出さなければいけないものは出さなければいけない。作ったことがない料理も出すことが義務だと感じている。
そんな料理店。
なぜ、料理店のことを書いたかと言うと、リズム度外視で音符を並べる演奏を聴いてしまったからです。
楽譜を見ると、たくさんの音符がならんでいます。これはリズムに対して音符を並べる必要があるため、技術がないとうまくハマりません。普段の練習で、連符やトリルが拍にハマるように練習していくのですが、それに間に合わない演奏がありました。
中学1年生なので仕方がないところはありますが、音楽コースです。気持ちはすごくわかりますが、リズムを乱すことは、音楽の基本から外れるので、音符をはずしてでも、意味のある音楽にしてしまう方がいいのではないかと感じてしまいました。
このような演奏を私は過去の発表会・コンクールでたくさん聴いてきましたが、先生が無理をさせているのか、生徒が無理をしているのかはわかりませんが、現在の技術に合わせた楽曲を発表するのがいいのではないかといつも感じます。
誰だって、できないことを発表するのは、やりたくはないでしょう。難しいことは普段の練習でやるべきであり、発表の場では、レベルを落としてでも、できることを発表する方が、その先の人生にプラスだと感じます。
いい音楽とは楽曲の難しさではなく、音楽の良さであることは、軽音楽を聴けばわかります。
予選を通過するレベルなのは一人
私はコンクールのレベルを多少知っているつもりです。楽譜の理解が早くはないので、楽曲レベルの内容を吟味する評価はできませんが、技術レベルの評論は多少できるかなというところです。
今回の発表会はコンクールではありません。お客さんに演奏を披露する発表会でした。難しい楽曲をやる必要はありませんが、試験曲での発表会となったために、どこかコンクールのような演奏を感じてしまいました。
そのため、感じてしまうのは、予選を通過できるかできないかという評価です。
私はその気はなかったのですが、音楽コースのわりに厳しい現状を感じてしまいました。予選を通過できたのは一人です。それが自分の子供かどうかは書きませんが、そのような現状でした。
音楽の専門コースなのに、かなり厳しいと感じてしまいました。
すばらしい校長の言葉
今回の発表会ですばらしいと感じた一番は、実は最後の校長先生の言葉でした。
私は演奏に対して、ネガティブな評論をしてしまいますが、校長先生に直球の言い方はありません。
このような発表会が貴重であること。演奏において、難しかったところ、うまく表現できなかったところは、自分でわかっているはずですが、1年前と比べた時に、上達している自分を発見することができたなら、それはすばらしいこと・・・
また、普段の努力で、進展していることに気づけたらすばらしいこと。これからも続けることが素晴らしいこと。
努力を誉めて結果は評論しない、言葉を選んだスピーチをされていました。
生徒の能力を引き延ばすことが、校長先生をはじめとした先生方の役割です。それが改めて感じられ、勇気が湧いてくるスピーチだったと感じました。
最後に
私は音楽が好きだし、演奏もすることがあります。楽器の難しさもわかるし、できないことに対して、評論するなという意見もわかっているつもりですが、もうちょっと頑張らないとかなというところを感じてしまいました。
やってみればわかりますが、ソナタになると、音楽も高校レベルの数学みたいな感じで、やはり中学生には難しい。しかし、音楽専門なら、当たり前に立ち向かうべき相手、そんなことを私は感じております。
是非とも頑張る皆さんには、より研鑽して頑張っていただきたと感じる発表会でした。