音楽とは芸術であり、人間の感性を豊かにするもの、生活を豊かにするのもののはずなのですが、ピアノのコンクールの話となると、そんな芸術から離れて、スポーツやアスリートのような順位の話になってしまいがちです。
そのため、コンクールの結果を受けて、悩んでしまうピアノを習っている子供達は大勢います。
何百人も受けて、トップになれるのは一人だけなのですから。
しかし、私はこれは、コンクールのデメリットであると考えています。
よく考えるべき事実があります。
コンクールでトップになったからといって、プロのピアニストになれる補償はないのです。
コンクールというのは、野球で言えば甲子園のようイベントでもありますが、上手だからプロになれるということもありません。
確かに、有名なピアニストは、コンクールでも成績を残していますが、やはりお客さんが付かないとプロになることができません。
お客さんがつくということは、個性があり、また、お金をだしてまで聞きたくなる、魅力があるかということです。
ほかのピアニストと違う魅力がなければ、聴いてもらえないという事実があるのです。
私が知る、軽音楽の世界に限って言えば、アマチュアバンドコンテストのような順位付けを行う企画もあったりしたのですが、そのような大会で優勝したからといって、必ずしもプロになれるような世界ではありません。
お客さんがいてくれて、なんぼの世界なんです。
コンクールの意義
コンクールでトップになることは、価値はあります。有名な大会の最高グレードでトップともなれば、翌年、あちらこちらで、引っ張りだこになり、それだけで、お金を稼げる1年を過ごすことができると聞いたことがあります。
しかし、その次の年には、トップとしては、もう呼ばれないのです。次のトップが生まれるからです。
だとすると、コンクールのトップというのは、翌年の1年間を宣伝に使える権利をもらえるということにしかならないのです。
その1年、いろいろなところで、様々なお客さんに自分の音楽を売り込みに行く、営業活動をすることが大事になるのです。
コンクールで優勝したところで、魅力がないピアニストにはお客さんがつきません。
ピアノのコンクールの意義は、そもそもは、なかなか有名になることができないピアニストの音楽を、一般の人にも聞いてもらうチャンスの一つとして、始まったということを聞いたことがあります。
だとすれば、今のようなコンクールは、少し間違っているような気がするのです。コンクールに一般のお客さんはすくなく、ほとんどは関係者です。
面白い音楽をやっているんでしょうか、少し疑問です。
また、コンクールは採点をし、優劣を決めるわけですが、それが、売れるか売れないかの判断にはなりません。
悩んでいるあなたへ
コンクールの結果が思わしくなく悩んでいる方は、ものすごくたくさんいるとおもいます。トップは一人だけなのですから。しかし、その結果をうけてどう考えるかが大事なのです。
それでも、ピアノを演奏したいのか、そうではなくて、コンクールの良い結果を求め、他人と比べて自信をもちたいだけだったのか。
これからの時代は大きく変わり、人間にしかできないことが、評価されるといわれています。
ピアノという楽器の生演奏は、今のところロボットにはできないものです。ロボットにできることは、まったく同じ音楽を再生することが可能なくらいです。
どんな結果であれ、やりたい気持ちが強いのなら、気にしすぎる必要はありません。いつか、良い結果が出せればいいのです。
世界的に有名になるピアニストの中で、20代は全く売れず、無名だった人もたくさん耳にします。売れない時代に、どれだけの修行を積むことができたか、本来はそこが大事なのではないかと私は感じます。
ポイントは、それでも、やりたいことなのかではないでしょうか。
音楽家の苦悩
クラシックの音楽家は、パトロンの養護のもと、音楽をすることができました。
そのために、自由にできること、できないことの苦難があり、革命を経て一般大衆に音楽が浸透していきました。
音楽をやる人は、常に戦ってきたのではないかと思います。芸術のために戦ってきました。
だとすると、ライバルと競うだけではなく、自分の音楽で、世界を変えるくらいの思いがあったのだと思います。
だからこそ、多くの作曲家は、宗教音楽としてのクラシックにのめり込み、フリーメイソンのような組織に入っていたのだと、私は想像します。
むすび
私はコンクールの結果は、確かに大事だと思っています。
でも、音楽を売るための活動は、コンクールだけではありません。
ㇾ ホームページをつくる
ㇾ ブログをやる
ㇾ SNSで発信する
ㇾ ユーチューブに動画を載せる
ㇾ twitterで発信する
etc…
コンクールにこだわるよりも、何をお客さんに届けたいのか。そこに尽きるのだと思います。
最近は、ユーチューブが流行し、ピアノのBGMなどが、実は人気を博しています。ピアニストを目指し、ピアノ演奏だけをしていたら、見逃していた仕事が、BGMを作っていたら仕事になるという状況があります。
ポイントは、時代に合わせて、提供するということです。
コンクールで結果が出せないのなら、それでも音楽がやりたいなら、どうやったら売れるか、どんな音楽を作れば売れるかを考えるということです。
続ければ答えが見つかる、それが生きるということです。そして、そこに芸術が生まれるのだと私は感じます。
それでも、頑張りたい人を、陰ながら私は応援しています。