音楽家になるためには

今日は息子のピアノ練習中にピアニストと、コンクール優勝者との違いを話し合った。

なぜ、そんなことを話したのかといえば、仕事としてピアノを弾ける人と、そうでないひとの違いをきちんと理解してもらうためである。

音楽でお金をもらうということは、どういうことか。

コンクールで優秀すれば、お金がもらえるのか?

否、それは違うことを伝えた。

技術があれば、確かに、お金をもらえる可能性はある。しかし、仕事として、音楽を奏でるのであれば、お客さんが望むものを演奏したり、創らねばならない。コンクールの優勝が宣伝になるのは、短期間であろう。

たいていのピアニストは有名音大を出れば、ピアニストになれると勘違いしたまま、音楽大学に行き、技術だけを学び、サービス精神、音楽を提供する人としての、心構えを持たないまま、卒業して、本当の意味でのピアニストになることはない。

技術がある、上手い。それだけでは、根本的に間違っているのである。

料理人を見れば明らかだ。

技術力があり、高額な値段を得ようとする料理人は大衆には受けない。

ファミリーレストラン、回転寿司、外食産業が提供するものは、どれも実は技術を求めているものではなかったりする。

確かに高級料理を望む一部の富裕層もいるが、数は圧倒的に少ないのだ。

これが、音楽にも当てはまるのだ。

お客さんが望むものを提供できるか。

その時代にマッチすれば、アイドルのように稼げる音楽家にもなれるかもしれない。

シンガーソングライターで、稼げるかもしれない。

しかし、そうでなければ、CM,ゲームやアニメに音楽を提供したり、結婚式やホテルで演奏することになる。

いずれにしても、お客が望むものを瞬時に提供できなければ、音楽家としては誰もお金を払ってはくれないのである。

技術力があることで、知名度はあがるが、それだけでは、はっきりいってお金はもらえない。トーク力も必要であったりする。

一般の人に音楽をどうすれば聴いてもらえるか、そこに自分をどうのせることができるのか、そのような試行錯誤を続けることで、一部の人は音楽家になることができるだろう。

しかし、大半は、生活できずに、音楽家にはなれない。

ピアノの先生、教授などをしながら、たまに演奏会をひらいて、他のピアニストの真似事をする程度で終る。

だからこそ、ピアニストは茨の道であり、普通にやっても到達できない、職業なのである。

そもそも、バッハですらそれほど稼げていないし、芸術家は死後評価されることの方が多いのである。

それでも、続ける。続けてしまう、やめられない。そんな人にしか、その道が開かれることはないのであろう。

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